No. 2133ウルトラマラソン大国 Japan
近年100キロマラソンを中心としたウルトラマラソンにチャレンジするランナーが急増してます。サロマ湖100キロなど人気のある大会はエントリーするのが難しい状況です。
私も初めて100キロを走ったのは2010年のことですからそのブームに乗った一人です。
ウルトラマラソンの魅力を言葉にするのは難しい。もちろん言葉には出来るけどウルトラマラソンを走ったことがない人に伝えるのは難しい。特にランナーでない人にはキワモノ扱いされます 笑
ランニングは健康に良いのか悪いのかはマスメディアで双方の主張がされています。私はフルマラソンまでなら精神面を含めた健康という観点ではメリットが大きいと考えます。ただ100キロを超えると健康に悪い面が多いような気がします。。。
ではなぜそんな身体に悪いことをするのかと聞かれたら書くのは難しいです。またウルトラマラソンにチャレンジする一人一人違うと思う。もちろん生きるために走るプロランナーもいます。
私自身は限界にチャレンジしたいとか、走ることで生きてることを実感したいとか、自己表現だとか、達成感とかですが文章にするとなんだかしっくりこない。
登山家がなぜ危険な山に登るかと言えば「そこに山があるから」という名言があるけど、
「そこに道があるから」
が近いかもしれません。
もしくは
「そこにレースがあるから」
の方が近いかな 笑
レースに向けて計画を立てて練習して力を付けて、その力を上手く引き出せるようなレースマネジメントをしてゴールする。もちろん簡単にはゴールできない。長い時間を走るレースだから何かしらのトラブルは発生する。そのトラブルに対処しながらゴールを目指すのが楽しいのだと思う。
ウルトラマラソンは自分の体力だけではなく、経験、精神力、智力、財力そして応援してくれる家族や仲間の支えなどそのランナーが持ってる力を総動員してゴールを目指すゲームなのです。
「人生はマラソンだ!」という映画があったが、ウルトラマラソンはまさしく人生そのものだと思う。
速いランナーが勝つのではなく、強いランナーが勝つ競技である。
速いランナーと強いランナー何が違うの?
と質問されたらどんな状況になっても自分に負けないのが強いランナーと答えます。
例えライバルに先に行かれ追いつけない状況になっても、目標タイムに届かない状況であっても決して諦めないでその時できる自分の走りをするランナーのことです。
私は強いランナーになりたいと目指しているがまだまだ弱く自分に負けることが多い。自分に勝てたと思えるレースはほんの僅かです。
今年の四万十川は粘ってギリギリ8時間台で走ったが、実は途中で自己ベスト狙いから下方修正しているのです。
自分自身一番頑張ったと思うレースは昨年のサロマ湖100キロです。
この辺りのブログを読んでいただければと思います。ZONEに入った数少ないレースです。
なんて私のつまらない話はお終いにして本題に入ります。
日本のウルトラマラソンは世界でも屈指の強豪国なのをご存知でしょうか?
日本陸連からカタールで行われたIAU100キロ世界選手権に日本代表として派遣された能城選手は6時間39分21秒で4位入賞したのです。そして各国上位3人の合計タイムで競われる団体戦は2位に入ったのです。
100キロ世界4位の能城選手が取り上げられた中日スポーツの記事
ちなみに6時間39分21秒は平均キロ4分を切っているのです。
また今月台湾・台北で開催された東呉国際ウルトラマラソン24時間走では昨年のUTMFでも優勝しているロード・トレイルとも世界トップクラスの原良和選手が285.366キロという世界歴代2位の記録で優勝しました。
[DC] 24時間走で285kmで日本新記録、世界歴代2位・原良和
285.366キロという距離はウルトラマラソンを走っているランナーにはとてつもない記録だと分かりますが、ウルトラマラソンの経験のない方には凄いのは分かるけどどれだけ凄いことなのかイメージが湧きにくいと思います。
少しイメージしやすい数字を書きます。
キロ5分でフルマラソンを走ると3時間30分59秒です。このタイムで走れるランナーは市民レベルでは速いランナーです。
このペースで24時間走り続けると288キロに到達すると書いたらイメージしやすいでしょうか!?
285.366キロはキロ5分3秒ペースで24時間走り続けると到達する距離なのです。
そしてそのペースで100キロ走ると8時間24分40秒です!!
フルマラソン3時間31分で走るランナーは結構いますが、100キロ8時間24分で走るランナーは少ないです。そのペースのまま三倍近く走るのはホント驚愕です!
また24時間走で250キロを超えるランナーは世界レベルで見てもかなり少ない。レースコンディションによるけど250キロ超えれば世界大会でも優勝出来るレベルです。その250キロオーバーの記録をこの1年で出した、もしくは今現在狙えるランナーが日本には10人以上います。日本は世界で屈指のウルトラマラソン大国なのです。
そんなに強い国なのに、ウルトラマラソンというと、未だに24時間かけて100キロ走る(歩く?)番組のイメージを持ってる人が多いです。美容院等で私がランニングしてるのを知ってて、会話を繋ぐためにその番組のことを聞かれるとホント面倒くさく感じます。。
少し話は戻って能城選手らが走ったIAU100キロ世界選手権への参加は昨年までは日本陸連の派遣ではありませんでしたが、今年から正式に日本陸連派遣となったのです。
正真正銘の日本代表なのです。ウルトラマラソンが認められてきた証です。
そんなウルトラマラソン大国の礎を築いてきたのは特定の人ではなく、ウルトラマラソンを愛するウルトラランナー達であるが、日本ウルトラランナーズ協会の存在は非常に大きい。先日アールビーズの事業発表会で代表理事の小林氏とお話をさせていただいたが、話の節々にウルトラマラソンへの愛を感じました。
また日本における100キロレースを盛り上げてきた素晴らしい方々ともいろいろお話をさせていただいた。
サロマ湖ウルトラマラソンの第一回大会から29回連続完走しているゼッケン1の越智さんと、同じく第一回大会から走っているゼッケン2の丹代さん。そして2010年の100キロ世界大会で優勝した中台さんです。
世界大会で金メダルなんて素晴らしいですよね。
ただ日本のウルトラマラソンが世界的にハイレベルであることを知ってる人はランナーであっても少ない。
その点は私がウルトラマラソンに興味を持った頃から悔しいと思っていた。なぜこんな素晴らしい個性豊かな人達をマスメディアは取り上げないのだろうか?って。。。
そんな思いもあり、ランニングタウンで強いウルトラランナーについても連載していくことにしました。強いランナーの人生にはドラマがあります。単にレース結果を見て凄いなと思うだけではなく、その凄いウルトラランナーはどんなことを経験して強くなったのかを伝えたい。
第一回は今年の富士五湖72キロやえちごくびき野で優勝した永田務選手を紹介します。
おそらく10話程度の連載になる予定です。